コラムコラム


ATELIER 2000〜2005 in 広島県倉橋島



art-mizuno あれは、ちょうどバブルの時か、東京の都心では制作もままならない状況になり、長年住み慣れた青山から世田谷に移り住んだ。
それでも、当時大型の作品に意欲を燃やしていた私には、溶接、板金の仕事が出す騒音や火災の心配で中々制作に手がつかず、鬱々とした毎日を過ごしていた。
そんな時、たまたま友人から広島県庁の斡旋で瀬戸内海にある倉橋島の話を聞いた。
さっそく、この島にアトリエを構える事にした。
元々広島市出身の私には、一度も訪れたことの無いこの島へ移転をする決断には大した抵抗が無かった。

海上自衛隊の基地がある呉から音戸大橋で結ばれているこの島は、総人口23,000人の瀬戸内では大きな島である。
ここ大向(おおこう)はその最西端にある人口140人ほどの集落で、あの山田洋二監督の映画”故郷”の舞台でもある。

アトリエとして借り受けた所は廃校になった小学校で、こじんまりとした鉄筋の校舎と木造二階建ての会館等からなり、庭には二宮尊徳の像がある。
一人で住むには十分である。
きれいな空気と素晴らしい夕日と島々が点在する静かな海、それ以外は何も無い環境でなんとなく暮らしてもう5年になる。
今のところ、この環境は私の作品には直接影響を与えてくれていない。
ただ人生観が少し変わったかもしれない。
都会では思いもしなかった色々な体験や思い、自然の移り変わり、鳥や昆虫の生態など。
これらの事柄を出来るだけなんらかの形で残したいと思う。